Dixit

 このままだとガチゲーマーにしか見られないので、ここいらでコミュニケーションゲームのレビューをします!!

 今回は『Dixit』。女性人気があるかわいいゲームとしても有名ですが、せっかくレビューするのですから、デザイン方面から見てみましょう。今回注目するのは「自由のデザイン」です。「コミュニケーションゲームはみんな自由じゃん」と思う方もちょっと見方を変えて見てみてください。

 

 コミュニケーションを焦点としたゲームはたくさんあります。コードネームコンセプトといったものもこれに類しますね。しかしこの二つとDixit は本質的に違います。大抵のコミュニケーションゲームではプレイヤーの誰かのコミュニケーションが制約されます。「一言しかしゃべってはいけない」「惜しいとしか言えない」などですね。一方でDixitはコミュニケーションの制限が全くありません。なのでDixitでのコミュニケーションは自由で奔放なのです。

 Dixitのすごいところはこの自由で奔放なコミュニケーションをルールでうまく丸め込めているところです。何を言ってもいいのですがコミュニケーションの広がりの先には自分を有利にする行動がありません(他プレイヤーの邪魔にもなりません)。例えば絵の表現を長文で語ってもいいですし、自分しか知らない体験に基づいて説明しちゃってもいいわけです、しかしそれらの行動を過度に行うことはそのプレイヤーを有利にすることはまずないでしょう。イメージとしてはオアシスで放牧されているといったところでしょうか。このゲームのルールでデザインされているのはコミュニケーションの領域を進入禁止の柵で囲ったプレイゾーンではなく、中心を外れるほどうまみのなくなるあいまいな境界の存在するゾーンであるということです。この「行こうと思えば行ける自由度」がDixitの懐大きさを感じさせてくれるように私は思います。

 

 さらに言ってしまうとこの縛り方は楽しみながらちゃんと勝ちに行けるため個人的に好きです。ボードゲームって基本的におしゃべりしながらやるものですよね。その時のおしゃべりは自由なものなのでひょんなことからルールの柵を飛び越えてしまうのですよね。そこでルールに忠実にやりたい人とそんなの関係ないよという人でプレイングの差が生まれてしまいます。しかし、自由なコミュニケーションを許すDixitではどんなおしゃべりもルールから逸脱することはありません。今やっているゲームについて存分におしゃべりしながらプレイできるのですね。そのためどんな人が一緒にやってもみんな楽しめます、もちろんガチゲーマーも。

 

代表 エイメー